教育における人工知能(AI)のデメリット
人工知能(AI)は教育の風景を劇的に変えていますが、深刻な欠点や懸念点も真剣に考慮する必要があります。AIは医療、金融、小売といった世界的な産業の限界を広げ、日常業務に取り入れられています。
前回の記事で取り上げたように教育業界もこの自動化の流れを受け入れています。AIは個別化された学習プランの作成、プログラムされたチューターの提供、教育プロセスの速度向上などを可能にしています。
しかし、便利な技術には大きな責任が伴います。AIがもたらす潜在的なリスクにも注意を払う必要があります。
アップグレードにコストがかかる
まず、AIのアップグレードには多くの費用がかかり、必ずしも投資する価値があるわけではなく、すべての人が手に入れることができるわけではありません。
例えば、大学や学校、研修センター用の個別化されたAIプラットフォームやソリューションには、数億円の費用がかかることがあります。
2020年の支出を見ると、アメリカの企業はAIソリューションに30万ドル(約4200万円)以上支払っていることがわかります。多くの学校には、最先端のAIを導入するための十分な財政的な余裕がありません。AIシステムは私立学校や裕福な地域で導入されることが多いです。これにより、裕福な家庭の子供たちだけが高品質の教育を受けることが可能になります。
この格差が原因でさまざまな学校の生徒が受ける教育の質に違いが出てきており、社会経済的な隔たりがさらに広がる恐れがあります。教育界は元々多くの不平等に直面していますが、この技術の導入方法に慎重にならないと、経済的な差がさらに拡大するかもしれません。
「完璧」なマシンは無い
AIと機械学習は宿題の質問への対応やテストの評価、エッセイへのフィードバック提供などに活用されています。
しかし、AIがいつも正確なわけではありません。例えば、AIのエッセイチェック機能は、文法的に問題のないフレーズや文を「文法が不正確」と判断してしまうことがあります。また、問題の答えが既に設定されたデータから外れる場合はうまく対応できず、正しい答えを出した生徒をがっかりさせてしまうこともあります。
AIが出した答えが間違っている場合、最終的な判断は人間が行う必要があります。
子供の教育におけるAI
ロボットや機械が教師を代替するのは、懸念される部分が多いです。実際、これは教育技術分野でよく議論されるテーマです。2019年には国連総会とユネスコの主催で、「人工知能は教室でどのような役割を果たすべきか?」をテーマに会議が開かれました。その結果、AI技術を教室で広く使う前に、さらに研究が必要だとの結論が出されました。
AIは情報の迅速な提供や学習プロセスの加速に貢献していますが、これらのツールへの依存が過度になると、子どもたちの心理に変化をもたらすリスクも伴います。
さらに、AIに過度に依存することで教師や同級生との社会的交流を失い、感情の発達が滞ることがあります。さまざまな背景を持つ人々との協力や社会性を学ぶ過程がAIが介入することで上手くいかなくなるかもしれません。
AIの開発者たちは、AIと機械学習が自律的に動き出す可能性についても言及しており、意見は分かれています。テスラやペイパルの創業者イーロン・マスクはAIの利用を支持しつつ、その展開速度には警戒を呼びかけています。イーロン・マスクは「ターミネーター」のような事態が実際に起こり得るとも考えています。また、マイクロソフトのCEO、ビル・ゲイツはAIを核エネルギーと比較し、その有望さと危険性を指摘しています。
機械学習が無規制で進むと、学校環境にもネガティブで予測不能な影響を及ぼすことを多くの人が懸念しています。
失業の波
最後に、AIは多くの人々が仕事を失う原因となっています。アメリカでは、AIと自動化の影響で2030年までに最大7300万の職がなくなると予測されています。教育分野でも、より精密でカスタマイズされたAI技術の導入につれ、一部の職種が不要になる可能性があります。
教師や管理者、秘書、そして教育関連の仕事に従事している人々も職を失い、それが連鎖反応を引き起こすかも知れません。一生懸命働いている人々が経済的な困難に直面し、子供たちは住む家や食べものを失うこともあります。教師はプレッシャーの中で新しいスキルを学ぶことになりますが、本当に必要なスキルが身につくとは限りません。学生は人間との交流の機会を失い、教育の質も変わってしまうでしょう。
AIの懸念を緩和する
AIは教育をよりアクセスしやすくし、学習プロセスを支援する多くの方法を提供しています。しかし、AI技術を教育に取り入れる際には、人間中心の学びとのバランスを考慮することが必要です。
教育でAIを効果的に活用するための鍵は、しっかりとしたデザイン思考と継続的な規制にあります。小学校や大学院のプログラムにシステムを導入する前に、AIの専門家や機械学習の専門家は消費者のニーズを先読みし、まだ起こっていない問題に対する解決策を考える必要があります。よく設計され、慎重に考えられたシステムと定期的なメンテナンスを組み合わせることで、AIシステムの適切な機能を保証できます。
さらに、人工知能に対する我々の考え方を変える必要があります。AIは目標ではなく、道具です。カリキュラム開発者は、教育の場にAIを無理に導入するのではなく、AIがどのように教育を向上させるかに焦点を当てるべきです。
試行錯誤を繰り返し、学生や教職員からのフィードバックを得ることで、AIシステムは継続的に改善され、学生の学びの経験を向上させることができます。
私たちが日常生活にAIと技術をどの程度統合するかについては多くの議論があります。コンピューターやコードではなく、教師や管理者に信頼を置くのは怖いことですが、慎重に進めれば、これまでにない効率的な教育手段を開く可能性があります。
日常生活にAI技術をどのぐらい取り入れるかについては、多くの議論があります。教師や管理者よりコンピューターやコードを信頼するのは危険かもしれませんが、慎重に進めれば、これまでにない効率的な教育手段を開発する可能性があります。
AI技術のメリットとデメリットをちゃんと理解し、適切に導入することで教育の質を向上させることができると期待しています。