「AIエージェントを自社でも使ってみたい!」と思っても、 何から始めればいいのか迷ってしまいますよね。
AIエージェントは、質問に答えるだけでなく、必要な情報を探したり、 ツールを使って作業を進めたりできる仕組みです。 例えば、社内マニュアルを確認して回答案を作り、 必要に応じて担当者へ引き継ぐ、といった業務を支援できます。
大切なのは、最初から何でもできるAIを目指さないこと。 身近な業務から小さく始めて、試しながら育てていくのがおすすめです。 この記事では、AIエージェントの作り方を4ステップで紹介し、 社内データとの連携や安全に運用するためのポイントもわかりやすく解説します。
AIエージェントとは、目的に合わせて情報を集め、必要なツールを使いながら、 一連の作業を進められるAIシステムのことです。
例えば、社員から「VPNにつながらない」と相談が届いたとします。 チャットボットなら設定手順を案内することが中心ですが、 AIエージェントなら社内FAQや過去の対応記録を探し、 回答案をまとめたり、問い合わせチケットの下書きを作成したりする構成も可能です。
もちろん、チャットボットにも高度な機能を持つものがあります。 名前の違いより、情報を調べるだけなのか、実際の作業まで支援するのかに注目してみましょう。
| 比較項目 | 一般的なチャットボット | AIエージェント |
|---|---|---|
| 主な役割 | 質問への回答 | 目的に沿った作業の支援 |
| 情報の取得 | 設定された情報などを参照 | 検索ツールやAPIも利用 |
| システム操作 | 機能や実装による | 業務ツールとの連携を設計できる |
| 人による確認 | 用途による | 重要操作に承認を組み込める |
いきなりプログラムを書き始める必要はありません。 まずは「どんな仕事を任せたい?」「どんな情報が必要?」「どこまで自動化する?」 という3つのポイントを整理しましょう。 ここが決まると、必要な機能や開発方法がぐっと見えやすくなります。
まずは、毎日の業務から「手間がかかっている作業」を見つけてみましょう。 例えば、次のような業務が候補になります。
「すべての問い合わせを自動化する」よりも、 「PC設定に関する質問に、社内マニュアルを参考に回答案を作る」など、 最初のテーマを絞ることが成功への近道です。
次に、AIが参考にする情報を用意します。 FAQ、業務マニュアル、製品仕様書、過去の問い合わせ記録などが候補です。 ただし、情報が多ければよいわけではありません。 古い資料が混ざっていないか、誰が閲覧できる情報なのかも確かめましょう。
まずは更新状況がわかる、信頼できる文書から始めると、 検証もしやすくなります。
AIに任せる範囲も、少しずつ広げていくのがおすすめです。 最初は情報検索や回答案の作成から。 次に、人が内容を確認してからチケットを登録するなど、 承認を組み込んだ作業へ進みます。
顧客情報の変更や外部へのメール送信のような重要な操作は、 十分な検証ができるまでは人の確認をはさみましょう。
準備ができたら、いよいよ構築です。 ここでは社内ヘルプデスクで使うAIエージェントを例に、 4つのステップを順番に見ていきます。
AIエージェントの作り方には、画面上で処理を組み立てるローコード・ノーコード型と、 PythonやTypeScriptなどで開発するプログラム開発型があります。
まず動くものを試したいなら前者が便利です。 独自の業務ルールや認証、複雑なシステム連携が必要なら、 後者が合う場合もあります。 どちらがよいかは、社内の開発体制や連携先、運用方法によって変わります。
なお、AIモデルを一から学習させなくても、既存モデルやAPIを活用して構築できます。 開発の第一歩は、想像より身近なところにあります。
参考資料: OpenAI:Agents SDK
「AIに社内マニュアルを参考にして答えてほしい」。 そんなときに役立つ技術の一つが、 RAG(検索拡張生成)です。
RAGは、質問に関係する社内文書などを検索し、 その情報を参考にAIが回答を作る仕組みです。 例えば、次のような流れで動きます。
ただし、RAGを入れれば必ず正しい回答になるわけではありません。 文書の更新や検索精度、アクセス権限の管理が大切です。 また、RAGは情報を参照する仕組みで、AIエージェント全体の機能とは異なります。
いよいよ試作です! 最初は社内FAQへの回答案作成など、 人が結果を確認しやすい業務を選びましょう。
よくある質問だけでなく、答えが見つからない質問、 古い情報が混ざる質問、権限のない情報を求める質問も試すことが重要です。 「わからないときは無理に答えない」ことも、立派な品質の一つです。
動いたら完成、ではありません。 実際の質問にどれくらい対応できたかを確認し、 使いながら改善していきましょう。
例えば、次の項目をチェックすると改善点を見つけやすくなります。
| チェック項目 | 確認すること |
|---|---|
| 回答の正確さ | 社内文書と内容が合っているか |
| 回答の根拠 | 適切な参照元を提示できているか |
| 安全性 | 権限外の情報や操作を扱っていないか |
| 使いやすさ | 待ち時間や操作手順に無理がないか |
| 運用のしやすさ | 担当者が更新や改善を続けられるか |
AIエージェントの導入方法やシステム連携について、 さらに詳しく知りたい方は、 ORLABのAIソリューションもご覧ください。
社内データとつながるからこそ、セキュリティは欠かせません。 外部文書に隠された指示でAIの動作を誘導する 「プロンプトインジェクション」などにも注意が必要です。
アクセス権限を最小限にし、重要な操作には承認を設け、 誰が何を実行したか記録を残しましょう。 AIへの指示文だけに頼らず、システム側の制御を組み合わせることが大切です。
参考資料: OWASP:LLM Top 10(2026年版)
AIは、もっともらしい誤回答を生成することがあります。 だからこそ、回答の参照元を確認できるようにしたり、 大切な操作の前に人が内容をチェックしたりする仕組みが役立ちます。
完全自動化を急ぐより、安心して使える範囲から広げていきましょう。
参考資料: NIST:生成AIリスク管理
社内マニュアルの更新、新しい問い合わせへの対応、 エラーの調査など、運用開始後にもやることがあります。 業務部門と情報システム部門、開発担当者が役割を分けておくと、 改善を続けやすくなります。
開発経験のある担当者がいれば、社内で小さく試作するところから始められます。 一方、複数の業務システムとの連携やセキュリティ設計が必要な場合は、 外部の技術パートナーと一緒に進める選択肢もあります。
特におすすめなのは、最初の試作を一緒に進め、 社内担当者がテストや改善を経験しながら、徐々に運用できる範囲を増やす方法です。 作るだけでなく、社内にノウハウを残すことにもつながります。
社内の開発力を高めたい方は、 ORLABのAI駆動開発研修も参考にしてみてください。
ORLABでは、DevRevを実装基盤としたAgentic AI導入支援を提供しています。サービスページでは、Goal(目的)、Knowledge(知識)、 Instructions(判断ルール)、Skills(実行機能)を設計の要素として整理しています。
さらに、1つの業務から始める「6週間のQuick Start」も案内しています。 具体的な対象範囲や進め方は企業の状況によって異なるため、 まずは現在の業務や利用システムについて相談してみるのがよいでしょう。
Agentic AI × DevRev:6週間のQuick Startを見る
最後に、AIエージェント作りを始める前に確認しておきたいことをまとめました。
まだ決まっていない項目があっても大丈夫。 その項目こそ、最初に整理しておきたいポイントです。
はい。ノーコード・ローコードのツールを使えば、画面操作を中心に小さな試作から始められます。ただし、社内システムへの接続や細かな権限管理、複雑な処理には、プログラム開発や専門的な設定が必要になる場合があります。まずは問い合わせの分類や回答案作成など、確認しやすい業務から試しましょう。
一律の費用はありません。利用するAIモデルやツール、社内データの整備状況、接続するシステムの数、セキュリティ要件、運用後の保守範囲などで変わります。最初に対象業務と評価方法を一つに絞り、小規模な試作に必要な構成と費用を見積もると比較しやすくなります。
RAGは、質問に関係する文書を検索し、その内容を参考に回答を生成するための仕組みです。一方、AIエージェントは目的に応じて情報を探したり、ツールを呼び出したりして作業を進めるシステムです。AIエージェントの中でRAGを使うことはありますが、両者は同じものではありません。
AIエージェント作りは、難しい技術を一度に覚えることから始めなくても大丈夫です。 まずは身近な業務を選び、必要なデータを整え、小さく試してみましょう。 結果を確認しながら改善していくことで、自社に合った活用方法が見えてきます。
技術選定から社内データとの連携、運用体制づくりまで、 ひとつずつ考えていくことが、業務で使えるAIエージェントへの第一歩です。
「どの業務から始めたらいい?」「社内データとの連携はどうすればいい?」 「開発・運用の体制をどう整えればいい?」 そんな疑問があれば、まずは相談してみませんか。 ORLABでは、構想からPoC(試験導入)、本番実装までの相談を受け付けています。
執筆:ORラボ編集部/監修:鹿間康文(代表取締役)